43歳女性不妊 2年を超える不妊治療

憔悴しているような…

Nさんは43歳の主婦の方です。ご主人の転職にともなって都内から神奈川県に引っ越されてきました。小田急線に出やすいとのことで藤沢駅すぐの当院の不妊鍼灸のご案内を見られて来院されました。不妊治療にチャレンジされている女性を見ていると年齢よりは若く感じる方が多いのですが,Nさんはどちらかというと年齢相応でむしろ落ち着いた感じがします。

激闘の不妊治療歴

Nさんからは几帳面さもうかがえました。今までの治療の経緯をワープロで打ちこんでプリントアウトしてお持ちいただけたのです。なかなかこういった方はいらっしゃいません。ただ治療歴が長くなってきているようでしたのでこちらとしてはとてもありがたく思います。

病院は都内の生殖医療を専門にやっている,最後の駆け込み寺のようにいわれているあの有名なクリニックです。経緯をおっていくと,これはよく頑張ってるなぁ…という内容です。

1年目

卵管検査で右側のつまりが見つかりました。フーナーテストが不良で頸管粘液が硬く精子が確認できませんでした。そのため精子と卵子が出会えていない可能性が高いため体外受精を勧められました。

治療1回目 初診から3か月後,誘発方法などはわかりませんが卵子を1個採卵できそのまま新鮮胚移植をしました。しかし結果は(-)。

治療2回目 1回目から3か月後になり,同様に1個採卵できてそのまま移植しましたがやはり(-)。

治療3回目 翌月でしたがこの時は排卵してしまった後だったので中止となりました。

治療4回目 この回から胚盤胞まで育てよう方針が変更となったそうです。結果1個採卵で無事に胚盤胞まで育ち凍結することができました。

治療5回目 翌月に移植しましたが着床せず(-)。

治療6回目 翌月に採卵となり3個採れてうち2個が成熟卵でいずれも胚盤胞まで育てて凍結することができました。

治療7回目 2か月後に1個を移植。この時は念願の陽性判定がでました。心臓音まで確認(心拍のことかな?)できましたが,その後成長がみられず流産手術となりました。

2年目

治療8回目 手術から3か月後で残りの1個を移植しましたがやはり着床せず(-)

治療9回目 再び採卵となり3個採卵できたのですが胚盤胞に到達したのはわずか1個。その一つも凍結前に上体が悪くなり凍結できませんでした。

〇はじめて移植までたどり着けなかったことにショックをから,からだの調子を整える必要を感じ,都内の漢方薬局で漢方薬を購入し服用をはじめました。徐々に手足の温かくなる感じはされたようでした。

治療10回目 採卵となりましたが採れた2個とも未成熟卵のため,顕微で受精しましたが胚盤胞まで到達できませんでした。

治療11回目 翌月に採卵となり2個採れて胚盤胞になりましたが,成長が止まってしまい凍結にいたりませんでした。

〇不妊治療を目的とした鍼灸治療に通い始めましたが,引っ越しのため1か月しか通院できませんでした。

治療12回目 今回も2個採卵できましたがいずれも未成熟卵で顕微授精となりました。1つは4分割でもう一つは桑実胚になるまで6日間かかり止まってしまいました。

〇2年目の終わりごろから当院へ通院することになりました。

傷ついた妊娠力(腎気)の復活作戦

ここまでの経緯を整理しておくと

  • ステップアップではなく体外受精からのスタートになった
  • 採卵をすすめていくうちに少しずつ採れるようになってきていた
  • 流産してしまったが胚盤胞まで育てて凍結までできるようになってきていた
  • 流産後成熟卵が採れにくくなってきていて胚盤胞凍結までいかなくなってきた

流産を境に成績ががくんと落ちてきているのがわかります。妊娠する機能が傷ついたというか,力が消耗してきているかのようです。はじめにも述べたようにNさんの落ち着いた感じというのは,顔色が暗めで破気がないという感じです。

おからだの様子を伺うと

  • 初潮は12歳のとき
  • 月経周期は28~35日
  • 月経期間は5~6日だが以前より短くなってきている
  • 月経痛はだいぶ軽くなってきた
  • 月経前になるとイライラと足腰のだるさを感じる
  • ストレスを感じると肩こりと立ちくらみがある

このことからどんな予想がたつかというと

  • 来経時期は標準そうなので女性ホルモンの性徴(腎気)は順調だった
  • 月経周期が長めなので卵胞の成熟がゆっくりである
  • 経期や経量,経痛が軽くなってきているので子宮に集まる血液量が減ってきているのか子宮内膜が薄くなってきているのか
  • 経前の症状の足腰のだるさで妊娠力(腎気)の消耗がうかがえる

またご自身でされている体調管理をうかがうと

  • 漢方薬を服用している
  • ホットヨガをはじめた
  • 食事をきちんととるように心がけている
  • 6時間の睡眠を心がける
  • ザクロジュースと鉄分をサプリで摂るようにしている

漢方薬のレシピをみせていただくと煎じ薬で細かく調整しているようなのですが,血液を養う四物湯と胃腸を丈夫にして元気を養う六君子湯に動物性生薬をあわせています。疲れやすく立ちくらみがあるのと舌に白く厚い苔がびっしりついていることから,よいところをチョイスしているようです。動物性生薬は消耗した妊娠力をもどすためです。

この漢方薬店は定期的に通って体調の変化によってレシピを調整するところではなく,はじめのレシピをそのままで電話で連絡して追加分を送ってもらうようにしているようです。アトピー性皮膚炎や喘息などと違い不妊症の場合は急にからだが改善してすぐに変化が現れるものではないのでこれでいいのだろうと思います。

漢方薬店は2週間ごととか細かく調整してくれるところもあるので,もしこれから漢方薬を考えている方であればご自身に向いていると思われるところを探すのがよいかと思います。

まずは消耗した妊娠力の回復と,血液と元気を養うための胃腸の働きを整えることからはじめます。ここまで2年かけて採卵8回と移植5回をされてきたNさんですが,さてどうなったでしょう…

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