子宮腺筋症・子宮内膜症 42歳女性

子宮内膜は本来子宮の内腔で生理とともに剥がれ落ちまた新しく再生していくのですが,内腔以外の異なる場所で増殖していくことがあります。この増殖したものは生理が来ても剥がれ落ちずに残ってしまいます。これを子宮内膜症といい,その中で子宮を構成する筋層内にできるものを子宮腺筋症といいます。また卵巣内に発生して嚢腫状態になったものをチョコレート嚢腫といいます。

遅い時間でも営業している鍼灸院

Sさんは42歳で1年前に結婚されて,お子様をご希望されています。お仕事がら19時以降でないと施術を受けることができないため,藤沢市内の当院をさがされてきました。ちなみに最終案内は19時としていますが,事前に遅くなることがわかっていればいつもそれ以降でもご案内しています。

ピルが使えない

きっかけは生理痛がだんだんひどくなってきたこと。5年前に婦人科を受診して子宮内膜症と診断されました。リュープリンによる治療を受けましたが歯がボロボロになってしまったそうです。それならばピルを服用して生理を止めてしまう方法があるのですが,今度は服用すると血圧が200くらいまで上昇してしまったそうです。また嚢胞ができてきたのでデュファストンの服用を現在続けています。

痛み

Sさんの生理周期は28日とほぼピタリと来るのですが,そのうち2~3週間くらい症状があります。

  • 痛みは刺すような鋭さがある
  • 痛みは生理の1~2日前から現れて排卵するころまである
  • 生理痛にともなって後頭部痛も起こる
  • 左腰の痛みが顕著で脚までしびれが起こり,またむくみやすく静脈瘤がある
  • 排便痛と性交痛があり,肛門の方まで引きつれるような痛みがある
  • 生理はほぼ5日間で経血に暗赤色の塊がよく混じる
  • 冷やすと痛みが悪化する
  • 甘いもの,とくにチョコレートを食べると痛みが悪化する

今の病院に1年前に転院したのですが,最近になって基礎体温表をつける指示が出ています。

子宮内膜症の鍼灸施術

東洋医学では人間のからだの中には「気」というエネルギーが存在すると考えられています。(おそらく気は概念であって,実体として存在するものではない気がします)。その気のちからによって赤い水(血液)と白い水(リンパ液など)が体内を循環します。しかしその赤い水と白い水が何らかの原因によって,うまく循環しないで停滞して局所的にまたは全身的につまりや瘤となります。このことを「瘀血」とか「痰湿」というのですが,例えばこれが脳にできると脳動脈瘤や脳梗塞となり,子宮や卵巣にできると子宮内膜症や卵巣嚢腫になります。したがって東洋医学では脳動脈瘤や子宮内膜症も,同じ瘀血や痰湿によるものと考えられています。

Sさんも鋭い痛みと経血の中に暗赤色の塊が混じることなどから瘀血の存在が考えれます。またチョコレートなど甘いもので悪化したり脚がむくみやすいなどから痰湿も疑えます。

子宮内膜症に対する鍼灸施術ですが当院では,生理開始予定日の1週間~10日前から生理あけくらいの間に3回くらい施術するようにしています。これを3~6周期つづけて様子を見ることにしています。

Sさんの場合には排卵する頃まで続くので,生理直前の症状が現れる頃と生理中,それと生理あけから排卵日のころまでの3回に決めてそれにあわせて来院するよう伝えました。
施術は気の流れを動かすようにして,そうすれば血液やリンパの循環も良くなってくると考えられるので瘀血や痰湿の改善にもなるはずです。
後頭部痛はひょっとしたら子宮内膜症の関連痛ではないかもしれないので,とりあえず頭~首にかけての硬く凝っている部分に鍼をします。
左腰から脚にかけての痛みやしびれに関しては,おしりの筋肉を指圧してみると左側のほうがあきらかに硬く凝っています。腰のほうもあります。梨状筋や仙骨付近に鍼をしてみると,左側のほうに肛門への響きが強く伝わります。鍼以外にもご自宅でおしりの筋肉をほぐすようなストレッチをするよう指導しました。

その後

生理3日目の来院でしたので,その1週間後の生理10日目に来院していただきました。左腰の痛みと肛門痛は残っているが後頭部痛はすぐに取れたとのこと。やはり子宮内膜症との関連痛ではあまりないようです。左腰とおしりを中心の施術をしました。

2周期目は生理前に痛みと頭痛が若干ありましたが経血はいつもよりさらっとしていたそうです。肛門痛がまだ感じられます。

もうしばらく治療を続けることになりました。

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